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数学を話題に、学校教育を考えてみようと思っています。


by numacchi_01
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分数の割り算

ある数でわることは、その数の逆数をかけることと等しい。

中学校の教科書には、「小学校で学習したこと」の復習としてさらりと書かれて終わってしまう。
で、肝心の小学校ではどう学習したんだろうか。

機械的に計算手続きを学習して演習に入ってしまった小学生はおそらく多いだろう。
今日、生徒にはあえて聞いてみた。


「1/5でわることと5をかけることはなぜ同じことなの?」

これから先、中学生、高校生、…と進んでいって、大人になって自分の子どもが小学生になったときに、その子どもも同じ問題に直面し、同じように機械的に学んだのではかわいそうだ。あわてなくていいけれど、じっくり考えて答えを出しなさい。ただし!数学の先生に質問して聞かないこと。「ふ~~~ん」で終わっちゃうから、つまらないよ。


なんて言って、授業時間も足りなかったのでそれで終わらせたのだが。
あぁ、数学科の教員がこのテーマを論ずるのは、実はけっこう勝負なんだよなぁ。(^^;
これに関しては小学校の先生のほうが教え方が上手だと思うし。


で、自分は小学校でどう教わったのだろう。
思い出そうと思うと、確かこんな感じだったような…

・6個のりんごを1人にn個ずつわけます。何人に分けられますか?
これは一般に

  6 ÷ n

で求められる。(もちろん小学校でnは使わないが、分かりますよね。)

①6個のりんごを1人に3個ずつわけます。何人に分けられますか?

  6 ÷ 3 = 2

だから2人前。

②6個のりんごを1人に1/8個ずつわけます。何人に分けられますか?
  6 ÷ 1/8

りんごを8等分するわけだ。ということは、8等分されたりんごの破片は、全部で48個できるじゃないか。それを1個ずつ渡すんだから、

  6 ÷ 1/8
= 6 × 8 ÷ 1
= 6 × 8
= 48

で、48人前。

・6個のりんごを1人に3/8個ずつわけます。何人に分けられますか?
  6 ÷ 3/8
やっぱりりんごを8等分する。8等分されたりんごの破片は、全部で48個。それを1人3個ずつ渡すと3/8個ずつわけたことになる。

  6 ÷ 3/8
= 6 × 8 ÷ 3
= 48 ÷ 3
= 16

だから、16人前。ここで、3で割ることは1/3をかけることと同義だ。(※1)
つまり、

  6 ÷ 3/8
= 6 × 8 ÷ 3
= 6 × 8 × 1/3

ここで、8をかけて1/3をかけるのは、8/3をかけることと同義だ。
だから、

  6 ÷ 3/8
= 6 × 8 × 1/3
= 6 × 8/3

だから手続き上、

  6 ÷ 3/8 = 6 × 8/3

ということになる。


となると、大人になった私は改めてこの理屈にやや矛盾を感じる。
※1で、どうして3で割ることは1/3をかけることと同じなのか。
これもまた、別の具体物を使った例で説明はできるのだが、なにやら堂々巡りになりそうな気がしてくる。

以下、ホントにひとりごと。

結局のところ分数は、割り算から生み出された概念で、数でありながら比の概念を含む。割り算は、掛け算の逆で定義するのであれば、具体物を分ける発想で、分数の割り算の話をしても無理が出てくるんじゃないか?…ということは、分数の割り算も、掛け算の逆の演算を出発点に考えてみたほうがよいような、あるいは比の考え方の説明からのほうがよいような気がする。

しかし、比の概念の習得だって結構困難だ。

さぁて、どんな説明がもっともシンプルなのか。
こう考えていくと、小学校の先生、大変だよなぁ…(丸投げ)
by numacchi_01 | 2006-06-12 10:51 | 数学